2016-01-01から1年間の記事一覧

この池田信夫の論理はおかしい。よくあることだけれど

慰安婦問題を現代の価値観で裁くのはナンセンス – アゴラ池田信夫氏が上の記事で、橋下前大阪市長から従軍慰安婦問題について、批判を受けたことに反論している。 橋下前大阪市長の「慰安婦が必要だった」発言を援護射撃しなかったことを責められての、反論…

『丸刈りにされた女たち――「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅』

今回紹介する、藤森晶子氏の『丸刈りにされた女たち――「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 』(岩波現代全書)を、私がこの本を手にする契機となったのは、下のごとく、ナチスドイツ占領下のフランスで、ドイツ軍の将兵と交際していた女性は、「慰安婦」なのだ。…

従業婦が業者の拘束下におかれているかの基準〜『売春と前借金』その2

前回紹介した『売春と前借金』は、従業婦が業者の拘束下におかれているか、の基準について、1949年に出された労働省労働局長通牒(昭和24年3月3日、労働省基発264号)を紹介している。(pp.169-170) 以下の事項すべてに該当する場合を除き、店主と接客…

前借金は借金ではない〜『売春と前借金』(日本弁護士連合会編)

従軍慰安婦問題に限らず、人身売買をあつかった書物には、必ずと言っていいほど「前借金」という言葉が登場する。日本弁護士連合会が1974年に出した『売春と前借金』(1974年)(高千穂書房)は、その前借金契約に焦点をあてて、売春問題について書いたものだ…

大量殺戮には必ず、アウシュヴィッツ並の施設が必要などということはない〜『再審「南京大虐殺」』のおかしな論理

下のいかにもな雑誌を立ち読みしていたら、アウシュヴィッツを引きあいに出した南京事件否定論にあたった。日中韓政治経済戦争2016~ニッポンが勝利する100の理由 (英和MOOK)出版社/メーカー: 英和出版社発売日: 2016/08/04メディア: ムックこの商品を含むブ…

それなら、再分配政策しかないじゃないか。

そもそも、ピーター・シンガーの意見に賛同できない〜ふたたび障害児の排除について - davsの日記 上記の記事で言及した作家の橘玲氏が、経済格差は遺伝に起因するという記事を書いていた。非正規という身分で差別 貧困層に落ちていく希少性を持たない若者 -…

蝶々トンボも鳥のうち

過日、下のようなツィートを投稿したところ、意外なほど多くの反応をいただいた。自衛隊を批判する奴は、自衛隊による災害救助活動を受けるなという主張を見かけた。これが正しいのなら、左翼思想が嫌いな奴は、8時間労働制や最低賃金制による保護を受ける…

中国海軍が機雷敷設でシーレーンを封鎖!〜でも、一体、どこにどうやって敷設するのだろう。

中国脅威論は右派メディアの定番のコンテンツだが、1980年代のソ連脅威論の焼き直しというべきだろう。中国脅威論とかつてのソ連脅威論が、大きくと違うのは相手の軍事力に対する評価だ。かつてのソ連脅威論では、ソ連軍は強大さを強調することが常のことだ…

池田信夫氏の誤解している「三段論法」

池田信夫氏は立憲主義も三段論法も誤解しているようだ。 池田信夫 blog : 朝日新聞論説主幹・根本清樹氏の誤解している「立憲主義」 池田信夫氏は、憲法は一般の国民ではなく、国家権力を縛るものだ、という立憲主義の考えに反対して、国民は憲法を守らなけ…

せめて歴史修正主義者の方々で意見を統一してほしい。〜『別冊正論26「南京」斬り』

「南京」斬り 「大虐殺」は蔣介石と中共の?国共合作?―ウソと実像を見極める― (別冊正論26)作者: 産経新聞社別冊正論編集部出版社/メーカー: 日本工業新聞社発売日: 2016/03/22メディア: ムックこの商品を含むブログ (1件) を見る『別冊正論26「南京」斬り…

赤紙=召集令状について、左翼がデマを流しているというデマ

トリヴィアは所詮トリヴィア - Apeman’s diary 上のApeman氏の記事にもあるように、左翼が「赤紙」について、印象操作を行って、徴兵制への不安を煽っている、という主張がある。 ちなみに「赤紙&サヨク」でgoogle検索してみたら下のような結果だ。 赤紙 サ…

コミンテルン最強伝説〜『真実の朝鮮史【1868-2014】』

今回、取り上げるのは、『真実の朝鮮史【1868-2014】』(宮脇 淳子・倉山 満著)だ。倉山満氏については、その著作を以下の記事で取り上げた。 『帝国憲法の真実』〜人生において何の役にも立たないことだけは約束します。 - davsの日記 『帝国憲法の真実』そ…

それでも、歴史修正主義者にNOと言わなければならない。

拙ブログで、従軍慰安婦問題や南京事件についての歴史修正主義的主張に対する反論をいくつか書いてきた。正直に言えば、「従軍慰安婦は業者が勝手に連れてきた」とか「南京事件を目撃し、記録した外国人は国民党政府のエージェント」とか、ネットに書き込ん…

慰安婦が性奴隷かどうかは内心の問題ではない。

自らの歴史修正主義的な意見を、他人からの批判から守るために思想信条や内心の自由を持ち出す人がいる。左翼は歴史認識や解釈が違うだけで歴史修正主義のレッテルを貼ってくるから厄介。慰安婦の存在自体を否定したら流石に歴史的事実の否定だが「性奴隷か…

そもそもまとめのタイトルがおかしい〜AP通信の影山優理記者の記事についてのまとめ

前回の記事で言及した池田信夫氏の記事は、AP通信の影山優理記者の記事が発端だったが、その記事を探していると、以下のまとめサイトにたどりついた。AP通信・影山記者は「日本軍が強制連行した」という記事を未だに発信 - Togetterまとめ従軍慰安婦問題否定…

うちの奴隷制はよい奴隷制〜『イスラーム史のなかの奴隷 』

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L7JGBJ2LUHBI02H.html 上の記事の杉山晋輔外務審議官は、「なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。」と言いつつ、その根拠を述べていないが、彼と同様に従軍慰安婦は奴隷ではないという人の多くは、慰安婦が好待…

「その証拠はどこにあるのか。」ってお前が言うか〜久しぶりの池田信夫氏

久しぶりに池田信夫氏が従軍慰安婦問題について書いていた。 AP通信の影山優理記者は「正義」なのか – アゴラ 期待に背かず(?)最初から飛ばしてくれる。 NYTなど欧米メディアが、朝日新聞の「自白」で慰安婦問題についての報道をトーンダウンさせた中で、…

ああ、自動ミルク製造機がほしい

子どもが生後6ヶ月をこえ、離乳食を食べはじめたが、妻と分担して日に5回の授乳はかかせない。(わが家は完全ミルク育児なのだ)ヒトもほ乳類である以上、仕方ないとは言え、これが結構面倒くさい。 手をよく洗う。 水を沸騰させる。 ほ乳瓶に規定量の粉ミ…

『第三のチンパンジー』とタスマニア人へのジェノサイド

ジャレド・ダイアモンドの『若い読者のための第三のチンパンジー: 人間という動物の進化と未来』が出ていたので、早速、購入の上、読んだ。 タイトルからは分かりにくいが、『人間はどこまでチンパンジーか?―人類進化の栄光と翳り』に、その後の新しい知見に…

スマラン事件を個人の犯罪と言うためには

従軍慰安婦問題否認論は、たいてい「軍や官憲による暴力的な強制連行はなかった」と問題を矮小化させつつ、正しくないことを主張するわけですが、これに対し、例えばスマラン事件のことを指摘しても、「いや、あれは個人的な犯罪であって、軍組織の犯罪では…

とにかく「奴隷制度」を否定したい人

従軍慰安婦問題を語るとき、当時の公娼制に論が及ぶのは多い。従軍慰安婦問題についての本を読めば、当時の公娼制が「事実上の奴隷制度」と批判されていたという知識は、常識として身に付くものだを持っていたら、どうも違うらしい。.@davs_no_nikki 「公娼…

年齢ネタは従軍慰安婦問題否認論の定番

[ニュース分析]従軍「慰安婦」は日本陸軍が主体となる典型的な人身売買だった : 政治•社会 : hankyoreh japan上記のハンギョレ新聞の記事に付いたコメント。 山田 光一郎 · 勤務先: 団体職員 >1922年生まれ)は17歳の時 太平洋戦争始まっていないんだが……

「現在の価値観で、過去を断罪するな」というのはやはり詭弁

「現在の価値観で、過去を断罪するな」という決まり文句がある。従軍慰安婦問題で、よく持ち出されるものだ。どういうものか、南京事件ではこのきまり文句が持ち出されることは少ないようだ。(南京事件では、事件そのものの存在を否定するという傾向がある…

ベトナム戦争時の虐殺被害者への慰霊モニュメント「ベトナムピエタ」の記事についたコメントがひどい。

従軍慰安婦問題について日本の非を鳴らすと、必ず「韓国だってベトナム戦争時にひどいことをした」と言う人が出てくるのは、もはや「お約束」となってしまっている。 韓国軍が虐殺した民間人慰霊のため少女像作家が「ベトナムピエタ」建立を構想 : 政治•社会…

俺には関係ないと居直る人

慰安婦基金の10億円を朝日新聞や福島みずほ議員が負担すべき、と主張する人がいる。 http://agora-web.jp/archives/1665179.html 石井孝明氏の認識では、従軍慰安婦問題は、本来、問題にならないはずのものが、誰かが騒いだせいで問題になった、ということら…

デメリットを上回るメリットがあるとも思えない。〜省庁の移転

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12159621.html?rm=150 http://www.asahi.com/articles/ASJ1D5QJBJ1DULFA034.html文化庁は京都へ、消費者庁は徳島へ移転する方針という記事だが、移転にどんなメリットがあるのか、分からない。一方、深刻なデメリット…

産経新聞の「蒸し返し」の例

産経新聞は何が何でも、従軍慰安婦が奴隷だったと言う主張を認めたくないようだ。 【「帝国の慰安婦」在宅起訴】誤解と曲解が独り歩きする韓国社会を反映 異論認めず“聖域化”する慰安婦問題(1/2ページ) - 産経ニュース記事は朴裕河世宗大教授へ元慰安婦ら…

そもそも、ピーター・シンガーの意見に賛同できない〜ふたたび障害児の排除について

当時茨城県の教育委員だった長谷川智恵子氏の発言をきっかけに障害を理由に、子どもの排除が許されるか、という問題について書いた。 出生前診断で分かる障害なんて一部だ。〜長谷川智恵子氏の発言をめぐって - davsの日記 生まれる前の障害児の選別は、今生…