歴史

『丸刈りにされた女たち――「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅』

今回紹介する、藤森晶子氏の『丸刈りにされた女たち――「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 』(岩波現代全書)を、私がこの本を手にする契機となったのは、下のごとく、ナチスドイツ占領下のフランスで、ドイツ軍の将兵と交際していた女性は、「慰安婦」なのだ。…

せめて歴史修正主義者の方々で意見を統一してほしい。〜『別冊正論26「南京」斬り』

「南京」斬り 「大虐殺」は蔣介石と中共の?国共合作?―ウソと実像を見極める― (別冊正論26)作者: 産経新聞社別冊正論編集部出版社/メーカー: 日本工業新聞社発売日: 2016/03/22メディア: ムックこの商品を含むブログ (1件) を見る『別冊正論26「南京」斬り…

赤紙=召集令状について、左翼がデマを流しているというデマ

トリヴィアは所詮トリヴィア - Apeman’s diary 上のApeman氏の記事にもあるように、左翼が「赤紙」について、印象操作を行って、徴兵制への不安を煽っている、という主張がある。 ちなみに「赤紙&サヨク」でgoogle検索してみたら下のような結果だ。 赤紙 サ…

コミンテルン最強伝説〜『真実の朝鮮史【1868-2014】』

今回、取り上げるのは、『真実の朝鮮史【1868-2014】』(宮脇 淳子・倉山 満著)だ。倉山満氏については、その著作を以下の記事で取り上げた。 『帝国憲法の真実』〜人生において何の役にも立たないことだけは約束します。 - davsの日記 『帝国憲法の真実』そ…

それでも、歴史修正主義者にNOと言わなければならない。

拙ブログで、従軍慰安婦問題や南京事件についての歴史修正主義的主張に対する反論をいくつか書いてきた。正直に言えば、「従軍慰安婦は業者が勝手に連れてきた」とか「南京事件を目撃し、記録した外国人は国民党政府のエージェント」とか、ネットに書き込ん…

うちの奴隷制はよい奴隷制〜『イスラーム史のなかの奴隷 』

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L7JGBJ2LUHBI02H.html 上の記事の杉山晋輔外務審議官は、「なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。」と言いつつ、その根拠を述べていないが、彼と同様に従軍慰安婦は奴隷ではないという人の多くは、慰安婦が好待…

「現在の価値観で、過去を断罪するな」というのはやはり詭弁

「現在の価値観で、過去を断罪するな」という決まり文句がある。従軍慰安婦問題で、よく持ち出されるものだ。どういうものか、南京事件ではこのきまり文句が持ち出されることは少ないようだ。(南京事件では、事件そのものの存在を否定するという傾向がある…

それは70年前に出た話だ。

以前の記事で、言及した笠原十九司氏の『南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社新書)』を読むと、南京事件否定論者の主張の多くが、東京裁判の弁護側の主張として既に出ていたことが分かる。同書から引用すると下記のようになる。 証人の…

市民が30万人殺されたのが南京事件?〜藤岡信勝氏のとても狭い虐殺の定義

前の記事ふたつで、藤岡信勝氏の南京事件否定論について書いたが、藤岡氏の南京事件の定義は独特のものだ。 過去15年間の南京研究の成果を要約するのは簡単ではない。もし、その結論をひとことで表すとすれば「南京戦はあったが、『南京虐殺』はなかった」…

それでは、日本には殺人も強盗も強姦も放火もないのだろう。〜藤岡信勝氏の南京事件否定論

前回の記事に続いて藤岡信勝氏が『正論』12月号に書いた南京事件について書いた記事について書く。 【世界記憶遺産】中国版「アンネの日記」こそが南京大虐殺がなかった証拠だ! 藤岡信勝(拓殖大客員教授)(1/10ページ) - 産経ニュース藤岡信勝氏は、そ…

秦郁彦さん! こんなことを言われちゃっていますよ。

物を知らないとは恐ろしいことと言うか、無知ゆえに大胆になれるという見本だろう。藤岡信勝氏が『正論』12月号に書いた南京事件について書いた記事が、産経新聞のサイトに転載されていた。 【世界記憶遺産】中国版「アンネの日記」こそが南京大虐殺がなか…

櫻井よしこ氏はティンパリーの著作を読んだのだろうか。

櫻井よしこ氏が「週刊新潮」2015年の12月10日号にコラム「日本ルネッサンス」に南京事件について言及している。 ユネスコの世界記憶遺産に登録されてしまった「南京大虐殺」についての中国側の主張の骨格は、H・J・ティンパーリーの著作に基づいている。彼…

自分が嘘をついていることを、他人に知られても平気な人間もいるのだな。

yasugoro_2012氏のツィートで知ったことだが、根拠がないことを知りつつ、歴史修正主義的主張をする人間がいる。KAZUYAは20万人が安全区の人数だと分かっていて故意に「人口20万人の南京で、30万人殺したという。ファンタジー(空想)的だ」などと…

戦前の朝鮮が植民地でないと叫んでも、説得力ないよな。

下のツィートを読んで、考えたこと。司書講習のなかで、日本が朝鮮を植民地支配したことに言及したところ、受講生から、「植民地支配」でなく(対等の)「韓国併合」だと抗議を受けて、教員が謝罪させられた顛末が書かれている。教員としてはさらっと韓国の…

程瑞芳の日記は、「伝聞情報に依拠した記述ばかり」ではない。

南京事件関連の資料がユネスコ記憶遺産として登録されたことに対して、日本が意見書を提出したことについて。 http://mainichi.jp/shimen/news/20151106ddm001040141000c.html 意見書は明星大の高橋史朗教授が作成した。ユネスコ日本代表部の佐藤地(くに)…

戦争はなかった!

南京事件は無かった、という主張は、いくつも見たが、日中戦争がなかったという主張ははじめて見た。戦争当時中国等と言う国は無い。アジアを侵略し植民地にしていたのは欧米で、日本はアジアの国の軍隊と戦った訳では無い。まして当時の毛沢東率いる八路軍…

アホなのか、ウソつきなのか

【編集日誌】「南京事件」検証します - 産経ニュース「毛沢東は南京事件に言及しなかった」という、とうの昔に否定された、手垢まみれというのも恥ずかしいような南京事件否定論を今更見るとは。アポロ計画陰謀論で例えるとと、「真空のはずの月面で、星条旗…

ネット右翼の論法を日本にあてはめたら

「〜であるはずなのにそうでないから虚偽」論法はネット右翼が好む典型的なものの一つです。「強制連行されたのなら/虐殺されたのなら戦後日本人への暴動が起きるはず」「戦況が悪化しているのに呑気に兵が日記を残すはずがない」というように。http://t.co…

落ちつけ、落ち着いて計算するんだ〜日本兵はスーパーマン理論

NNNドキュメントにさそわれて、あらわれた歴史修正主義者の中でも、最もトンデモないことを言っているのが下の例。てか、南京大虐殺なんてなかったって何度言わせれば・・・ これは元中国人の石平さんも言ってるから間違いないし、殺害数を計算すると1人の…

旧日本海軍は空母を重視していたか

「大艦巨砲主義」の語意 - 誰かの妄想・はてなブログ版 上の記事についたブックマークコメントについて。「大艦巨砲主義」の語意 - 誰かの妄想・はてな版[歴史]"日本の戦術思想が米英に比べても「大艦巨砲主義」に偏っていたと言っても大過ないでしょう"開戦…

ILOの強制労働条約は、戦時においては適用除外だったのか。

yasugoro_2012氏の下記のエントリーを読んで「強制労働ニ関スル条約」(第29号)第2条第2項(d)は、戦時における全ての労務が条約の適用除外対象になるのか疑問だったので調べてみた。 ILOの強制労働条約における戦時徴用の除外規定について感じたこと。…

ギブ・ミー・チョコレート

「ギブ・ミー・チョコレート」が職場で話題となった。一定の年代より下の人間のかなりの割合がこの言葉を知らないことがわかって驚いた。もちろん、英語の意味がわからないのではなく、終戦直後に占領軍の将兵に日本の子どもが、チョコレートなどをねだった…

彼も彼女も同い年 その2

拙ブログへのアクセスログを見ていたら、「同年生まれ 歴史」というキーワード検索で「彼も彼女も同い年」に訪問してくださった方がいた。「同年生まれ 歴史」をグーグルで検索して興味深いページを見つけた。「同年生まれでもイメージ違う」 http://blog.go…

彼も彼女も同い年

オードリー・ヘプバーンとアンネ・フランクが同い年(同じ年に生まれた)と友人からきかされて、そんなことがあるのか、と調べてみた。 オードリー・ヘプバーンがベルギーで生まれたのが、1929年5月4日。アンネ・フランクがドイツで生まれたのが、1929年6…