「東京ドームn個分の広さ」はわかりにくい

タイトルの意見は私のオリジナルではない。謎の日系イタリア人パオロ・マッツァリーノの『13歳からの反社会学』を読んでいて、思わずなるほど! とうなってしまった指摘であったので紹介しつつ、記事を書いてみた。


こういうとき日本のオトナたちは、なぜか東京ドームの広さでたとえる決まりになっているんです。「東京ドーム何個分」「東京ドームの広さにいくつある」みたいに。なんでかね。なんでだろ。みんな巨人ファンなのかな。
「そんなわけないです。でもたしかに、東京ドームの広さとかいわれても、イメージしづらいかな。あたしみたいに、野球に興味がなくて一度もいったことない人も多いだろうし」
 ですよね。東京ドームって、意外と中途半端な大きさなんで、計算するのも面倒くさい。(後略)
私も「東京ドーム10個分の広さです」と言われても実感がわかない。
この表現が、わかりにくいのは、おそらく次のような二つの理由からだろう。
ひとつは、東京ドームは歩き回るための施設でなく、広さを実感できないこと。
ふたつは、広さをあらわしたいものの広さを適切に伝えたい、というより、広さをあらわしたいものの広さを強調したいと意図が強いために、n個分のnが大きな数字になりがちであること。A4用紙一枚分の大きさならイメージできても、80円切手109枚分の大きさではわかりにくいだろう。nはせいぜい1か2が適当だろう。
 
ちなみに『13歳からの反社会学』で、東京ドームにかわる広さのものさしとして紹介されていたのが、東京ディズニーランドとディズニーシーをあわせた面積で、これが1平方キロメートルだそうだ。

他に面積のものさしになるものはないか、と私が卒業した中学校を下記を使ってはかってみると、およそ2ヘクタール(20,000平方メートル)と出た。
http://members.jcom.home.ne.jp/wa-ga-ya/map/area_length.html
一辺が100メートルの正方形ふたつ分の面積だ。

他にものさしになりそうなものをあげると、こんなものか。

施設名所在地面積(概数)備 考
ハウステンボス長崎県 152ヘクタール
上野恩賜公園東京都53.9ヘクタール
小石川後楽園東京都 7ヘクタール
大塚国際美術館徳島県2.9ヘクタール常設展示スペースの延床面積
国立科学博物館地球館東京都0.9ヘクタール展示室の延床面

他にもいろいろあるかと思うが、n個のnが、少なくなり、かつ、なじみのある基準を使えば、わかりやすい表現になるだろう。

反社会学講座 (ちくま文庫)

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