『Q.E.D.―証明終了―』


Q.E.D.証明終了(1) (月刊マガジンコミックス)


加藤 元浩のミステリー漫画。『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』といった同ジャンルのコミックと比較して知名度で劣ることは否めないが、面白さではそれらに勝るとも劣らない。
1998年から巻を重ねて、2012年10月には43巻まで出版されたが、ほとんどの巻に完結した2話づつ収録されており、巻をまたがる話がほとんどない。
したがって、飛び級で入学したマサチューセッツ工科大学に入った後、日本の高校に転入してきた燈馬君と、人間離れした体力と運動能力、及び戦闘能力(笑)を持つ女子高校生の水原さんのコンビが、事件を解決するというフォーマットを理解すれば、どの巻を読んでも楽しめる。

ストーリーはミステリーの王道である殺人事件あり、「日常の謎」あり、コンゲームありとバリエーションに富んでいる。特におよそ半分が人が死なない話であり、燈馬君や水原さんの級友が殺人の加害者や被害者になる話もない、という特徴が、作品が陰惨なものになることを回避させている。

もっと面白いのが、主人公コンビの関係だ。ふたりで外国に行ったり、(保護者同伴なしで!)、水原さんが燈馬君に手料理をごちそう*1したりしても、ふたりは「つきあっていない」*2らしい。(特に水原さんの主張では)そのくせ、互いに他の異性が接近したら、不機嫌になるというのが、面白いというか、ほほえましい。

本作は10年以上にわたって続いているため、クリスマスや夏休みといった行事が、「これ何回目だったっけ」というぐらい、描かれているが、バレンタインデーは、一度として描かれていない。一度は読んでみたいとは思うが、それはこの作品が最終回を迎える時だろうととも思うので、それはそれで寂しいだろう。

*1:おてんばキャラは、料理が下手というのが、お約束のようだが、水原さんは手作りのチーズケーキや、餃子を作る。なかなかの腕前のようだ。

*2:ふたりの仲を云々した同級生が、水原さんの鉄拳制裁を受ける場面があった。