どこにそんなことが書いてあるの? 発達障害者と犯罪?

気になったブログ記事から。
「12年前の今日」『定型発達者もつらい…かな?』

すでに平成21年に、国のお金を使って、ギョーカイメジャーが内外の文献を調べ「発達障害者の犯罪率は高い」と報告しています。 (後ほどリンクします)
かなり衝撃的で断定的な文章だ。そこで、リンク先を見てみた。ちなみにリンク先の文書は「社会技術研究開発事業平成21年度研究開発実施報告書 犯罪からの子どもの安全」(以下、「報告書」と省略)。ところがである。リンク先の報告書には、「発達障害者の犯罪率は高い」なんて文言は書かれていない。まあ、好意的に解釈して、それに近い意味が書いてはある。
非行少年は一般少年に比べて学習障害である割合が高いことや、注意欠陥多動性障害ADHD)の子どもは後の非行や問題行動のリスクが高いことが明らかになった。
注意欠陥多動性障害の子どもを発達障害者全体に拡張して、「後の非行や問題行動のリスク」を「犯罪率」に飛躍させなければならないが。さらに報告書にはこういうことが、書いてあるんだが。
近年、障害と犯罪行為との関連性について社会的に大きな関心が寄せられている。メディアでも報道されているが、少年犯罪の加害者の中には、広汎性発達障害の診断がつくケースも存在する。しかし、障害そのものが非行や犯罪につながるのではなく、障害児者を取り巻く環境的要因(虐待やいじめによるトラウマ体験、家族間の葛藤など)が大きなリスク要因であることが指摘されている。
そもそも、発達障害者の数すら、諸説あるのに、犯罪率なんて算出できるのか。さらには、「発達障害者の犯罪率は高い」というときは、「定型発達者」と比べて、という意味が含まれているだろうが、比較もそれほど簡単ではないだろう。発達障害者と定型発達者とを截然と分けることができるのか。また、発達障害そのものが犯罪に関わるか、という問題になったら、それこそ、虐待やいじめの経験の有無やひどさ、職業や収入、学歴、家族などの要素をそろえて比較しなければならないだろう。 浅見社長は、報告書を以下のようにまとめている。
その結果わかったのは、 1 発達障害者の触法リスクは有意に高い。 だって迫害体験も多いのでね。で、どういう迫害体験が非行に結びつくか見ると 1 虐待との関連は有意に高い。 2 いじめとの関連はコントロール群と有意な差がない。 3 崩壊過程(ママ)(親の精神疾患や貧困など)では有意に高い。 ということだそうです。つまり犯罪は社会のせいというよりむしろ親のせい。 なのです。
「1 発達障害者の触法リスクは有意に高い。」というのは書いていない。 その下の1から3は、報告書のp7からp10の杉山(登志郎)グループの調査についての言及だ。これは医療機関を受診した広汎性発達障害のある児童青年に対して、行った調査で、調査対象者175名(男性147名、女性28名)のうち36名は一度でも触法行為を行ったこと者(非行群)、残りの139名を触法行為を行ったことがない者(コントロール群)として比較したものだ。浅見社長のいうような結果も出ている。(浅見社長の言及していない結果も出ている) その中で気になるのが、2のいじめととの関係だ。報告書に「非常に多くの広汎性発達障害の子どもが、非行があろうがなかろうがいじめを受けていることが明らかになった。」とある。非常に多くのいじめがあるのは、重大な「社会のせい」である問題だが、いじめと非行との関係を云々できるほどの数の「いじめを受けたことがない広汎性発達障害の子ども」がいたのか気になるところだ。
障害に理解があったりなかったりする一般社会、障害者が好きな人もいれば嫌いな人もいる一般社会への働きかけよりもまず、親を支援すればいいんじゃないかと思うんですけど。
「障害に理解があったりなかったりする」から社会に働きかけなければいけないのではと思うんだが。さらに親を支援するにしても、資源が必要で、それは社会から引き出すしかないわけで、社会の理解は必要だろう。家庭と社会は対立する要素ではないだろう。 最後に
橋下徹氏が総理大臣になり稀勢の里横綱になる世界を夢見ている。
これは悪い冗談として解釈すべきなのか。それでは私も半分冗談で。稀勢の里はともかく、橋下徹が総理大臣になるのは、悪夢だなあ。そうなったら、海外亡命も真剣に検討しなければならないだろう。