インセンティブに従ったら非難される。〜駆け込み退職問題

前回の記事の続き。定年まで働き続けたら受け取れる給料と、削減される退職金とを比較して、退職金が削減される前に駆け込み退職した(する)教職員、警察官に非難をあびせる政治家がいる。

http://satsuki-katayama.livedoor.biz/archives/7697558.html
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130124/edc13012414280006-n1.htm

http://satsuki-katayama.livedoor.biz/archives/7697558.html
定年直前の「高級地方教員」の給与が仮に50万円としますと、3月31日まで待って退職するのと、2月1日で辞めるのとでは、2ヶ月分の給与がなくなり、退職金が150万円減るとすると50万円の差(かなりざっくりした割り切りで計算すれば)。 50万円が惜しくてやることでしょうか?  生徒を放り出したと言われ、周りから、あるいはマスコミからも批判されうるであろうことは、普通の常識があればわかるでしょうに。  「寂しい」「そういう人が一人か二人出ることはあっても、ある程度まとまって出るとは思わなかった」  こういう考え方は甘いのですかね。地方の教員や警察官の方々に、「矜持」や「性善説」を求めるのはもう無理、ということですか?
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130124/edc13012414280006-n1.htm
下村博文文科相は同日の記者会見で「責任ある立場の先生は、最後まで誇りを持って仕事を全うしてもらいたい。許されないことだ」と述べ、不快感を表明した。
50万円って相当のお金だと思うぞ。使ってしまうにしても、豪華な海外旅行はいけるし、高級な自転車だって買うことができる。50万円で死なずにすむ人間だって多いだろう。片山さつき氏にとってははした金かも知れないが。
さらに問題なのは、片山氏や下村氏が、制度設計を仕事とする政治家であることだ。制度変更によって損をする人間が、それを回避するための(合法的な)行動をとることを道徳的な面から批判するというのは、まったくおかしな話だ。「俺の鞭をおとなしく受けろ」という奴隷主の言葉にひとしい。好きなときにやめられない、というのは、まさしく奴隷にあてはまることだ。
彼らがすべきなのは、駆け込み退職したほうが、得になるという制度設計が妥当だったか検証することだろう。そもそも、特定の人間に損を我慢させる、とか、犠牲精神を前提にする「心でっかちな」制度がうまくいかないのは、古今東西に例があふれている。

今回の問題で驚くのは、金銭的な不利を受け入れて、仕事を続けた人が多数だったことだ。片山氏たちは、「あなた方は、私の誇りです」と抱きしめても、罰はあたらんと思うぞ。(笑)