『マルドゥック・スクランブル』

未成年娼婦ルーン・バロットは、ショーギャンブラーのシェルに拾われ、彼の専属娼婦になる。それはシェルの犯罪計画の一環であり、バロットは謀殺されかかる。
しゃべることができ、歌って踊れるネズミとパンクなドクターに、瀕死の彼女は、金属繊維の人工皮膚を移植されよみがえる。(一種のサイボーグですな)
バロットは、身に着けた能力を使って、シェルの犯罪を追うようになる。悪漢どもに銃弾をぼかすか撃ち込んだり、カジノからチップを巻き上げたりするのだ。

最後の文はふざけたが、ふみにじられ、奪われてきた少女の再生と(前向きな)復讐の物語である。
また、力を得た者が怪物になってしまう危険性も描いている。バロット自身も、彼女を襲う「畜産業者」もそうだが、前者は怪物にならず、後者は怪物になる。

物語は未来のどこかが舞台であるのだが、物語はハードボイルドの色が濃い。難しい科学技術の話を読まされてしまうのではないか、という懸念は無用だ。