狂気の戦場 ペリリュー 〜"忘れられた島"の記録〜

 NHKスペシャルの「狂気の戦場ペリリュー〜"忘れられた島"の記録〜」をみた。
ペリリューの戦いと言えば、日本軍の敢闘ぶりが語られることが多いのだけど、鮮明なカラーフィルムと生存者の証言で構成されたこのドキュメンタリーは、むしろ戦いの凄惨さ、その後の硫黄島、沖縄の戦い、本土空襲に与えた影響に焦点をあてたものだった。。

 ところが、この番組に妙なところに引っかかっている人もいる。

 問題になっているのは、米兵が、「(日本軍になぶり殺しにされた戦友の死体を発見して)怒りに震えたままその場にいると仲間が、あの中にジャップがいるぞ!と叫んだのです。」と語る場面だ。直接話法であり、米兵たちが日本兵への憎しみにかられていた様子を語る文脈においてだ。いわゆる地の文の部分では、「日本兵」となっている。それを下のような解釈をする人もいて、頭が痛くなる。

ここからは付け足し

 話をひろげると、番組に戦闘意欲を喪失した日本兵を米軍が容赦なく銃撃し、殺す映像が出てくる。むごいとしか言いようがない。これは仮定のはなしだが、これをアメリカ人が、これは戦時国際法にのっとった正当な行為だ、と堂々と主張したら、賛同しかねる日本人は多いだろう。しかし、捕虜や恐怖に駆られて武器や軍服を捨てて遁走した中国兵を殺した南京事件を、戦時国際法のあれやこれやの論点で正当化する人は多いのだ。

 日本海軍の兵士だった人の証言で、米軍の戦車の砲を「78ミリ」と言っていた。これは誤り*1なのだが、従軍慰安婦関連の証言で「ジープ」が出てきたから、捏造扱いする人たちは、この元日本兵の証言も捏造扱いするのかな。