他のやつにだまされる前に、俺がだましてやったぜ〜従軍慰安婦制度広義の強制について

「広義の強制連行」とは? - 独身貴族(笑)の雑記 − 30代リーマン

 タイトルは上を一読して、頭に浮かんだフレーズである。
 それにしても、天災の犠牲者には同情できるのに、社会的経済的災害の犠牲者には冷酷なのは不思議なことだ。

総じて、意に反する労働を強いられた慰安婦が不憫であると言う点には同意するが、「日本政府の犯罪」と言えるようなものでは無い。根底にあるのは当人の家庭の事情だろう。極端な話「日本軍慰安婦制度」があろうが無かろうが、その女性の境遇はそんなに変わらなかったと思われる(何らかの身売りを強要されたであろう事は想像に難くない)。

 
 詐欺犯が、「被害者はとてもお人よしで、俺がだまさなかったら、他のやつにだまされていたに違いない。被害者は同じような詐欺にあったであろう事は想像に難くないのだから、俺は悪くない」と言ったら、id:syachiku1氏は納得するのだろう。
 加害行為をしたかもしれない者と、実際に加害行為をした者を同列に論じて、後者を免責するのは、詭弁だ。

 syachiku1氏は日本軍が従軍慰安婦制度をつくらなくとも、身を売る運命になった女性が従軍慰安婦問題になったのだ、と言いたいようだ。だが、暴力や詐欺によって従軍慰安婦にさせられた女性は、日本軍従軍慰安婦制度がない世界であっても、軍人相手に春をひさいでいた、というのだろうか。 
 

そもそもこの問題の争点が「自由意志であったか否か」なんて誰が決めたのか? 実態として自由意志とは言えない事を仮に証明(というより、そんな内面的なものを客観的に証明出来るのだろうか)しても、それだけでは日本政府の犯罪にはならない。日本政府が署名捺印を特に意思を入れて強要したというならまだしも、女性が署名捺印をせざるを得なかったのは、自身の家庭の事情があったからに他ならないからだ(自分でそのように書いているでは無いか)。

「(自分でそのように書いているでは無いか)」というのは、id:Apeman氏の記事だ。
「慰安婦」問題否認論者に欠けているのは「自由意志」についての常識的な洞察 - Apeman’s diary
 「家族へ加えられている(あるいは加えられると予想できる)脅迫」によって売春を強いられている女性がいる、という話だが、こうした暴力によって売春を強いられている人間が存在することを問題ない、という人間はそういないだろう。ましてや公権力においておや。