「他のやつにだまされる前に、俺がだましてやったぜ〜」記事へのトラックバックへの返答

前回の記事にid:syachiku1氏からトラックバックをいただいた。これに返答していきたい。
今回は返答という記事性格上「ですます調」でお送りします。

まず、次に以下についてです。

>詐欺犯が、「被害者はとてもお人よしで、俺がだまさなかったら、他のやつにだまされていたに違いない。被害者は同じような詐欺にあったであろう事は想像に難くないのだから、俺は悪くない」と言ったら、syachiku1氏は納得するのだろう。 加害行為をしたかもしれない者と、実際に加害行為をした者を同列に論じて、後者を免責するのは、詭弁だ。
解釈がおかしい。その女性の不幸な身の上の根本原因は慰安所の存在ではなく家庭の貧困であると言っているだけだ。ただの仮定の話ではない。
 どう解釈がおかしいか分かりませんでした。syachiku1氏の文章は、従軍慰安婦にされた女性は、従軍慰安婦にされずとも、いずれ売られて、売春宿で働いていただろうから、軍慰安所で働かせても問題ないのだ、としか読めなかったのです。「その女性の境遇はそんなに変わらなかったと思われる(何らかの身売りを強要されたであろう事は想像に難くない)」という文は、明らかに従軍慰安婦制度を正当化する文脈で用いられています。
「その女性の不幸な身の上の根本原因は慰安所の存在ではなく家庭の貧困であると言っているだけだ。」と書いています。これを私が前回の記事で用いた詐欺犯の弁明のたとえにあてはめると、「詐欺の被害者の損害の根本的原因は、詐欺犯の悪意ではなく、被害者のお人よしな性格である」ということになります。被害者が自戒の意味で言うならまだしも、詐欺犯を免責する文脈で言うと、非常にグロテスクなものになります。そもそも、従軍慰安婦制度がなければ、慰安婦としての不幸もないわけです。詐欺犯がいなければ、どんなお人よしな性格の人も、詐欺の被害者となることはありません。

 日本軍(その意を受けた者も)は、女性の貧しさにつけこんでいた、としか言い様がありません。
 従軍慰安婦制度は、女性の貧しさにつけこんだりしないと、成り立たないものだったわけです。そうでないのなら、軍が軍人の娘や妻や、姉妹に従軍慰安をリクルートしてもよさそうなものです。
 もうひとつは、従軍慰安婦になった女性が、日本軍慰安婦制度がなかったとしても、何らかの身売りを強要された、とは断言できない、ということです。
 一例を挙げます。 【被害者証言】ヤン・ラフ=オハーン(オランダ) | Fight for Justice 日本軍「慰安婦」―忘却への抵抗・未来の責任  当時、フランシスコ修道会の教員養成大学の最終学年だったこの女性が、日本軍慰安婦制度がなくても、何らかの身売りを強要されたであろう事は、私にとって想像するのが、困難なのですが、syachiku1氏は想像できるのでしょうか。 また、秦 郁彦氏の『慰安婦と戦場の性』にも、貧しいとはいえない家庭出身の女性が、業者にだまされて慰安所に送られてくるという事例が紹介されています。