やはり産経新聞は朝日新聞が好き

 以前の記事で、朝日、読売、産経、毎日の各新聞が、他紙について言及した頻度について書いた。
「○○新聞の記事」という検索語を各紙のデータベースで調べたのだが、非常にあらい方法であり、他紙への言及は必ずしも、「○○新聞の記事」というかたちでなされておらず、取りこぼしが多いことは予想できる。
 そこで今度は、検索の対象を各紙の社説とコラムに限定してみた。ここは各紙の「考え方」が載るところであり、「○○新聞の記者が交通事故」といったノイズも少ないだろう。
 まず社説から。期間は1992年1月1日から2014年10月25日である。(これは産経新聞のデータベースの限界)行側が掲載した新聞、列側が掲載された新聞。朝日新聞の社説を「読売新聞」という言葉を検索すると36件ヒットしたということ。

朝日読売毎日産経
朝日新聞362821
読売新聞33117
毎日新聞30207
産経新聞811418

 やはり、産経新聞朝日新聞への「偏愛ぶり」は覆いがたい。また、産経新聞が他紙の社説で言及されることが少ないことも分かる。産経新聞の前ソウル支局長が、名誉毀損でソウル中央地検によって在宅起訴されたことを憂慮、あるいは批判する社説を各紙とも書いているが、それが入って、この結果である。朝日新聞が21件と、産経新聞への言及が多いが、これは、産経新聞朝日新聞に対する批判記事への反論があるからである。他の新聞の社説において、産経新聞の記事の中身が話題になることが少ない。例えば毎日新聞の7件も、引用元として言及しているケースが大半で、記事内容についての評価と言えるのは、1件しかなかった。
 
 これがコラムになるとさらに傾向がはっきりする。

朝日読売毎日産経
朝日新聞天声人語25528
読売新聞「編集手帳30166
毎日新聞「余録」1975
産経新聞産経抄1835687

 産経新聞のコラムは、他紙への言及が多いことが特徴だと言えそうだ。特に朝日新聞への言及の多さは驚くべきだ。何しろ、産経新聞以外の3紙のコラムが、他紙に言及した合計回数より、「産経抄」が朝日新聞に言及した回数の方が多いのだ。しかも、中身をみると朝日新聞への批判が多い。一方、朝日新聞の「天声人語」が産経新聞に言及したのは8件あるが、いずれも、話題になった人物が、産経新聞の川柳欄によく投稿していた、といった「人畜無害」なものばかりで、新聞の報道姿勢や記事への評価に論が及ぶものはひとつもなかった。
 産経新聞朝日新聞に対する強いこだわりがあるのだろう。