50年後には「ブラック企業なんてなかった説」が、世を席巻しているかも知れない

「15分単位の勤怠管理」っておかしくない? 遅刻は切り上げ、残業は切り捨て…

 元記事は時間外労働の時間数をどう計算するかについてのものだ。一日15分の時間外労働を月に21日した場合、合計5時間15分になる。これを月ごとに集計し、15分を切り捨てて5時間の時間外労働をしたとしてもよいが、一日ごとに15分を切り捨てて、月の時間外労働時間をゼロとして処理することは許されないということだ。

 要は元記事に書かれた事例の企業は、払うべき時間外手当を払っていないということになりそうだが、弁護士の回答というのが、以下のようなものだ。


ただ、そのような方法で争うことで、仕事場に居づらくなってしまうかもしれませんので、遅刻しないよう出社時間ぎりぎりに出社するように努めて、ストレスを少し軽減させるのが一番現実的かもしれませんね。
 いや、それじゃ、労働時間が不当に割り引かれてしまうという本来の問題には、何の解決にもなっていないぞ。サービス残業をさせられるという相談に、「それでは定時に退勤するようにしましょう」というようなものだ。

 日本の労働者保護は、建前の世界では、ダメダメなものでは決してない。しかし、現実の運用はお寒い限りで、労働法制を守ろう、あるいは守らせようという意識が異常に低い。年休だってその理由を問わず取得できるはずだが、現実はこうだ。

そもそも日本の職場が無法地帯なわけで - 非国民通信

 現在の従軍慰安婦問題否認論者のやりくちをみていたら、建前ばかりを根拠にして「日本の労働者は時間外手当をたっぷり受け取っていた。年休だって、使用者側は取得理由によって拒否することなんてできなかった」「ブラック企業サービス残業なんて、反日勢力の捏造だ」なんて主張する人々が、50年後にいるんじゃないかと想像してしまう。