慰霊碑が既にあることと、それではどうして駄目か書かなければならないだろう。

【産経抄】空襲慰霊碑の建立を 3月10日(1/2ページ) - 産経ニュース

▼東京都江東区で老舗の家具店を営んできた滝保清さん(86)は平成3年から、空襲で亡くなった人たちを追悼するため、慰霊碑の建立を求める運動を続けてきた。10万人を超える署名を集め、国会や都議会にも働きかけてきたにもかかわらず、まだ実現していない。空襲で祖父母と妹を失った滝さんは、訴える。「平和なわが国の礎(いしずえ)となった人たちに、手を合わせる碑がなぜできないんですか」。
 ▼おっしゃる通りである。ただ、広島市原爆死没者慰霊碑が残した負の教訓も思い出す。「過ちは繰返しませぬから」。これと同じく、空爆は仕方がなかったと読める碑文なら、滝さんの願いに反し、かえって犠牲者を冒涜(ぼうとく)することになる。

最後の段落は、こじつけというのもはばかれる、ひどいものだ。どうしたら広島市原爆死没者慰霊碑の碑文を「原爆投下は仕方なかった」と解釈できるのか。しかし、産経抄子だけの問題か、と思っていたら、広島市に碑文を改めるよう要求していた人もいたようだ。
広島市 - 原爆死没者慰霊碑の碑文を改めるべき
 この要求に対し、広島市

 碑が完成した昭和27年(1952年)から今日まで、碑文は被爆者や広島市民だけではなく核兵器廃絶と世界平和実現を求める全世界の人々にとって祈りと誓いの原点であり続けています。
 今日では、碑文に対する疑問の声はほとんど聞かれず、本市としては碑文の修正は全く考えておりません。

と一蹴しているのだが、産経新聞は「広島市原爆死没者慰霊碑の碑文改めろキャンペーン」でもするつもりなのだろうか。

 さらに前掲の産経抄を読んだら、東京大空襲の慰霊碑がないような印象を受けてしまう。事実、下のような主旨のツィートも散見される。

しかし、2001年に竣工した慰霊碑があるのだ。
東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑 | 東京都立横網町公園

産経抄に登場する、空襲で亡くなった人たちを追悼するため、慰霊碑の建立を求める運動を続けてきた滝保清氏にとって、この慰霊碑では駄目な理由があるのかもしれない。それならばそうと、記事に、慰霊碑が既にあることと、それでは、どうして駄目、と考えているか書かなければならないだろう。