曽野綾子氏たちはさかうらみする相手を間違えている。

ワック出版の『歴史通』2015年5月号に「私たちを「炎上」させようとした「朝日」」という穏やかでないタイトルで曽野綾子氏と渡部昇一氏の対談が載っている。

 介護は外国人労働者にやらせろ、語学も技術もなくても大丈夫。ただし、移民としての分をわきまえさせろ、とか、居住区だけは、白人。アジア人、黒人というふうに分けて済むほうがいい、とか、曽野綾子氏が2015年2月11日付の産経新聞のコラムに、書いて「炎上」した件が話題になっている。どういうものか、朝日新聞が批判の対象になっている。

編集部 朝日新聞はさっそく大きく取り上げて批判しました。例によって例のごとく「国際社会で理解されぬ」「国際問題になりうる」という見出しを掲げて国際問題化しようとしました。
渡部 朝日新聞慰安婦記事の問題にしても、自分たちだけは人道的で正義の立場にいると考える思い上がりが根底にある。われわれに対して障碍者差別だ、人種差別だと批判するのも同じ構造です。自分たちが正面から批判するのではなく、あちこちに火をつけてまわって、外国の政府や圧力団体を焚きつけて批判させる。懲りない新聞社です。(笑)

 それでは思い出してみよう。2月11日の曽野綾子氏のコラムについて、朝日新聞が最初に取り上げたのが、2月14日だ。
曽野氏コラムは「人種隔離容認」 南ア大使が産経に抗議
 朝日新聞が国際問題にしたのではなく、国際問題になった後で、朝日新聞が記事にしたのだ。ネットに至っては2月11日当日から、曽野綾子氏のコラムについて、騒然となっていた。
曽野綾子さんの産経新聞コラムがゲスすぎて大炎上 - NAVER まとめ
 どう考えても、「炎上」は朝日新聞が焚きつけたために起こったのではない。朝日新聞に対して、曽野綾子氏の人種差別的コラムに対して、対応が遅い、あるいは、自分の言葉で抗議せず、他人が抗議したことを伝えるだけだ、という批判はあり得ても、曽野綾子氏を「炎上」させたという批判はあたらない。

 まだ2か月ほど経過しただけの過去を曽野綾子氏は思い出せないようだ。そんな人にコラム執筆を押し付ける産経新聞は鬼だなあ、と思う。
 冗談はさておき、件の曽野綾子氏と渡部昇一氏の対談には、看過できない発言が、いくつもあった。改めて記事を書きたい。