もしも、日本軍の将兵が1億2千万だったら〜150人に1人とはどのようなものか

秦郁彦氏は日本軍将兵150人に慰安婦が1人、として『慰安婦と戦場の性』で従軍慰安婦の数を2万人前後から2万数千人と推計していた。この「150人に1人」という基準自体が、誤りを含んだものだと指摘されている。その上、「150人に1人」という前提でも、基数の日本軍将兵を300万とし、慰安婦が2交代したとするとその人数は、秦氏の推計のおよそ倍の4万人になる。

 そもそも「150人に1人」、「150対1」といっても、なかなか実感しがたい。そこで、日本軍の将兵の数を日本の人口の近似値1億2千万に拡大してみたら、どうなるか計算してみた。

 従軍慰安婦の数は、日本軍将兵150人に1人だから、80万人となる。さらにこの80万人という人数がどのような規模のものか、各種の統計から似た規模の集団を探した。理容業と美容業の従事者の人数の合計がこれに近い。「平成21年経済センサス-基礎調査」だと、71万6318人、「平成25年度衛生行政報告例」によると全国の従業理容師美・美容師の数が72万1680人だから、80万人のおよそ9割の数字だ。
 
 一方、吉見義明氏が『従軍慰安婦』で慰安婦数の上限とした20万人の前提の30人前後に1人、という想定はどうなるか。日本軍将兵1億2千万人の仮想世界では、慰安婦の数は400万となるが、これに近いのが、飲食店の従業者数である。「平成21年経済センサス-基礎調査」では、飲食店の従業者は4,421,927人。ここから本社事務所等の「管理・補助的経済活動を行う事業所」を除外すると4,367,987人だから、日本の飲食店の従業者数は、仮想世界の従軍慰安婦より多いことになる。