そんなことは橋下市長に言ってくれ

http://www.asahi.com/articles/ASH6V728TH6VPTIL02K.html

松井一郎大阪府知事(維新の党顧問)は26日、自民党議員の勉強会での百田尚樹氏の発言をめぐり「(メディアに)『圧力をかけよ』と言ったのは自民党自民党をたたくのはいいが、講師として行った百田さんにも表現と言論の自由はある」と擁護した。さらに「ここぞとばかりに復讐(ふくしゅう)だな。朝日(新聞)と毎日(新聞)は、百田さんの表現と言論の自由を奪っているのではないか。圧力をかけて」などと、発言についての報道にも疑問を呈した。

 松井知事は表現と言論の自由を尊重する気持ちが強いようだから、ぜひお仲間の橋下大阪市長を批判していただきたい。何しろ彼には、職員に、大阪都構想について発言するなと命じたり、入れ墨調査を行ったり、表現と言論の自由を侵害した実績がいくつもあるのだから、松井知事におかれましては、はらわたの煮えくり返っていることと拝察いたします。
 
 もちろん、松井知事はそんなことはしないだろう。彼の考える表現と言論の自由は、独特のものだからだ。まず、(現在のところ)日本には表現と言論の自由が認められているから、百田尚樹氏は、その発言をもって、秘密警察に拘束され、強制収容所に送られたりしないのである。今回の騒動において、百田氏の言論の自由はなにひとつ損なわれていない。
 松井知事の言う言論の自由は、「俺達の言うことを批判するな、尊重しろ、受け入れろ」ということでしかない。「表現と言論の自由」という言葉を、百田氏を批判する者の言論の自由を奪うという逆説的な目的のために使っているのだ。