さすがにウソはまずいでしょう
下記の子どもに対する性犯罪対策について夫と考えがかみ合わないという以下のツィートについて。
それは、本当の話か、都市伝説じゃないのか、ネットの話を鵜呑みにするのか、そこばかり言及するんだわ。はぁ?子どもの安全には気を付けようという主張に重みを付ける為に話したけど、本当かウソかって、重要な事か?お前はなんでそこに引っかかるんだと。
— (仮)桃源のひげ (@charming_hige) 2014, 12月 3
私はふたつの理由から、このツィートに賛同できない。
ひとつは、本当かウソかを吟味されていない根拠をもとに対策をたてるのはまずいことだ。ウソでも用心の材料になる、という考えもあるだろうが、この種の防犯対策はマイノリティを潜在的な犯罪者として排除する方向につながりがちなので、用心に用心を重ねた方がいいですよとは言いにくい。極端な例を出すなら、「震災に乗じて、朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいる」というウソに応じてとられた防犯対策が多くの人間の死につながった。本当かウソかは重要な事だろう。
ふたつめは、子どもが、性犯罪が遭遇する危険性は高いのか、という問題だ。先ほどのツィートを見ると、巷に子どもを狙う変質者があふれているような印象を受けるが、それは正しいのだろうか。
「13歳未満の子どもを対象とする暴力的性犯罪の認知件数の推移」という統計がある。2012年の認知件数の合計は、1,159件。そのうち1,054件が強制わいせつだ。残念ながら、1,996年より前のデータを見つけることができなかった。これを総務省の「人口推計」を使って算出した1万人あたりの認知件数をグラフにしてみた。2003年がピークだったが、半分近く減っている。
20141218_siryo.csv (グラフ作成に使ったデータはこれ)
もちろん、性犯罪に暗数はつきものであるし、件数の多寡が被害の深刻さをあらわすものではない。しかし、2012年年における13歳未満の道路交通事故死傷者が4万人をこえることを考えれば、子どもが変質者に傷つけられるよりも、「普通の」人々が運転する車両に傷つけられる危険性の方が高いであろうし、より用心すべきことだろう。