巨大組体操、ムカデ競走そして30人31脚

最近は話題になることが、少なくなった30人31脚を含めて、タイトルに挙げた3つは、団結、絆、一体感などの美辞麗句で飾られるのだが、以下のような共通する問題点があるだろう。

1 競技の成果が、最も遅い(弱い)メンバーによって決まる。
いくら足が速かったり、力が強く荷重に耐えられるメンバー(仮に「ハイパフォーマー」と呼ぶ)がいても、それによって全体のパフォーマンスは向上しない。遅い、あるいは弱いメンバー(仮に「ローパフォーマー」と呼ぶ)がハイパフォーマーに合わせない限りそれは望めない。
2 実のところ協力の要素がない。
ハイパフォーマーがローパフォーマーをカバーできない。また、ひとりが失敗すると、他のメンバーがカバーできずに、全体の失敗に拡大してしまう。 クラス対抗リレー等だと、ある選手の遅れを、俊足の選手が取り戻すことができるが、ムカデ競走では、遅れをカバーできない。
3 メンバー間の負の感情が芽生えやすい。
自分ができることが、苦手な他人のことを理解することは、大人でも難しい。ハイパフォーマーにとって、ローパフォーマーは「みんなに迷惑をかける奴」となりがちだ。競技に敗ければ、「あいつが足を引っ張ったせいで・・・」と陰性感情も生まれるだろう。イジメの誘因になりかねない。
4 個々人のペースでできない。
参加者が、自分の限界を超えて危険だ、と感じても、やめることができない。

上のような問題点がある競技を続ける弊害は大きいと思う。はっきり言えば、教育上、有害であって、やめるべきだ。協力を学ぶなら、得意な者も苦手な者も、同じことを一斉にするというのは、現実社会の協力のあり方とはかけはなれている。それぞれが、それぞれの得意分野で貢献するという競技ではいけないのだろうか。