従業婦が業者の拘束下におかれているかの基準〜『売春と前借金』その2

前回紹介した『売春と前借金』は、従業婦が業者の拘束下におかれているか、の基準について、1949年に出された労働省労働局長通牒(昭和24年3月3日、労働省基発264号)を紹介している。(pp.169-170)
以下の事項すべてに該当する場合を除き、店主と接客婦間に実質的な使用、従属関係が存在するということになる。

  1. 居室又は衣類等の賃貸借の料金が接客婦の稼高に関係なく一定していること。
  2. 食費の額が、接客婦の稼高に関係なく一定していること。
  3. 名義の如何を問わず、接客婦の稼高の一部を稼高に応じて、店主に支払っていないこと。
  4. 衣類、寝具、什器等の貸与や新調が強制されていないこと。
  5. 接客婦の外出には外泊の自由が店主により制限されないこと。
  6. 接客婦の営業が店主によって賃貸されている店舗内に制限されないこと。
  7. 接客婦の休業又は廃業の自由が制限されないこと。
  8. 店主との間に、金銭債務のある間、営業を継続することが、約束されていないこと。
  9. 花代等の報酬を接客負が、客より直接その全額を受け取ること。
  10. 営業時間外に店主が接客婦の金を預かることになっていないこと。