「自民党憲法改正草案」part5 憲法の遵守義務

自民党憲法改正草案」シリーズも今回が最終回。短い番外編を予定しているが、それは時期をおいて書くつもり。

「草案」では、憲法の遵守義務を国民に課すという、コペルニクス的転換をやってのけたのだが、その理由はというと

「Q&A」p35
憲法の制定権者たる国民も憲法を尊重すべきことは当然であることから、102 条1 項を新設し、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」と規定しました。
って、説明になっていないじゃん。さらに奇っ怪なことだが、現行憲法では尊重し擁護する義務を課せられる対象者に天皇又は摂政が、削除されている。しかし、いいのか。彼らは憲法を守らなくてもいいのか。それとも、そういう事態が発生する可能性を甘く見積もっているのか。

理由を全く説明されることなく、現行憲法から削除された条文もある。


第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
この条文を、中学校の公民の時間に最初に一読したとき、言いしれぬ感動を覚えたものだ。おそらく私は「草案」を作った人たちとは、世界の見方を共有できないのだな。

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