「採用担当者のみなさん。「落とした理由」を伝えてみては?」をめぐって

少し古い話題だが。

採用担当者のみなさん。「落とした理由」を伝えてみては? : まだ東京で消耗してるの?

不採用の理由を告げられても役に立たないだろう。
不採用の理由を知るというのは、失敗の再発を防ぐ、という目的があるが、聞いてもどうしようもないという場合がある。「血液型がABだから」とか「不細工な顔だから」失敗した/だめだった、と知ってもどうしようもない。

もちろん、上に書いたような社会的な批判をまねくような、理由で不採用にする会社は少ないだろう(と思いたい)し、あってもあきらかにすることはないだろう。

上記のようなことがなくても、あきらかになる不採用の理由は、定量的でなく、あいまいなものになるだろう。
させるべき仕事が決まっており、そこにはめこむ人材を採用するということであれば、採用・不採用の基準もわかりやすいものになるだろうけれど、自らの組織のメンバーとして迎え入れたい人物、一緒に働きたい人物という観点で、採用の可否を決めている(こちらの方が現代日本の会社組織に多そう)なら、理由を定量的に示すのは困難だろう。

不採用の理由が示されるなら、「コミュニケーション能力がない」とか「弊社が求める人物ではない」といったあたりになるだろう。
「コミュニケーション能力」なんてものは、能力というより、生きていた間に身に付いた特性のようなもので、今日明日の間に変化させるのは不可能だろう。また、あわないところに就職しなかったことを幸いとして、自分にあう就職先を見つければよいのだろうが、企業が求める人物像のばらつきは、現実にいる求職者の人物像よりも小さそうだ。いわゆる「スクールカースト」上位のタイプなどは人気がありそうだが、そんな人間ばかりではない。そうではない人間の中には、かなり自分を偽って、就職活動をしなければならない。就職に向いていない人間は、就職しなくてもまっとうに生きていける社会なら理想的だが、現在はそうではない。

ところで、がんばればなんとかなり、基準もはっきりした筆記テストから、就職試験風の「人間をみる」試験への転換を行う動きがある。
http://jp.wsj.com/article/JJ10051869106655554020016462172552464398961.html
http://www.pref.osaka.jp/jinji-i/saiyo/23change.html

しかしながら、もって生まれた、あるいは生育環境で身に付くもので結果が左右されるものを重視することで、公平さが損なわれるおそれは大きいだろう。