syachiku1氏への返答ふたたび〜従軍慰安婦問題

id:syachiku1氏から、再度、返答をいただいた。こちらからも再度回答したい。syachiku1氏の記事から、引用を多くおこなうが、記事の都合上、引用の順番は元記事と一致しない。

 まず、タイトルに書かれた私のハンドル名から”s”が脱落しているぞ。(苦笑)

まずもって、犯罪性をまともに立証出来てもいないのに、日本政府を詐欺犯になぞらえるのは不当である。

まず、そこからかぁ〜 あたしゃ、いっきに疲れたよ。
syachiku1氏は次のどちらにあてはまるのだろうか。

  1. 慰安所は民間の業者が勝手につくったもので、慰安婦は彼らが連れていただけだ。(1990年の政府答弁の段階だな)
  2. 1ではないが、人身売買や、暴力、詐欺によって集めた女性を性的奴隷として扱っても問題はないと考えている。

1なら、まず、以下の本を読むことをおすすめする。2なら天災の犠牲者には同情できるのに、経済的社会的災害の犠牲者には冷酷という不思議な性格な方だと思うしかない。

従軍慰安婦 (岩波新書)

従軍慰安婦 (岩波新書)

日本軍「慰安婦」制度とは何か (岩波ブックレット 784)

日本軍「慰安婦」制度とは何か (岩波ブックレット 784)

>そもそも、従軍慰安婦制度がなければ、慰安婦としての不幸もないわけです。詐欺犯がいなければ、どんなお人よしな性格の人も、詐欺の被害者となることはありません。
「戦争がなければ、戦争で人が死ぬ事はない」と言っているのと同じで、あながち間違った指摘ではないが、本質的に無意味である。

 私は、従軍慰安婦制度による人権侵害はまず、加害者の存在があって発生したものであって、被害者に原因があったわけではない、ということを述べたのだ。どうすれば、こういう解釈をするのか。。
 まあ、syachiku1氏の論にのってやろう。「戦争がなければ、戦争で人が死ぬ事はない」から、戦争を否定するというのは、素朴だが基本的な反戦論だ。戦争の場合、相手があることだから、「こちらは戦争をしたくなかったんですが、相手がしかけてきたんです」ということがあるだろう。しかし、従軍慰安婦問題については、誰かから強制されていないにもかかわらず、日本軍は、「従軍慰安婦制度のない世界」ではなく、「従軍慰安婦制度がある世界」を選択した。従軍慰安婦制度は、火山噴火などの天災ではなく、人災なのだ。軍慰安所を設置していた日本軍に責任のあることなのだ。


>フランシスコ修道会の教員養成大学の最終学年だったこの女性が、日本軍慰安婦制度がなくても、何らかの身売りを強要されたであろう事は、私にとって想像するのが、困難なのですが
そんな個別の事例を出されても困る。そのヤン氏という女性には当てはまらないというだけの話ではないか。それがどうしたという話だ。

 それでは、日本軍の暴力によって慰安婦にされた事例があることを認めるのだな。
 気になるのは「ヤン氏」という、名前に「氏」をつけるという一般的でない書き方だ。まさか、この女性が「楊某」という中国系の女性だと誤解しているのではあるまいな。

そもそも私が問題視している「広義の強制連行」から論点がずれている。広義の強制連行による被害者は、「親の借金を盾に慰安婦になる事を選ばざるを得なかった女性」と定義され得るのだろう。そして親の借金が身売りの原因である以上、日本軍慰安婦があろうがなかろうがその女性の境遇に大きな変化があるようには思えないと言っているだけである。いつ私が全ての日本軍慰安婦を対象に議論したというのだろうか?

  「親の借金を盾に慰安婦になる事を選ばざるを得なかった女性」について議論を限定する、というのははじめて出た話だと思う。「親の借金を盾に慰安婦になる事を選ばざるを得なかった」以外の理由となると、暴力や誘拐、詐欺によって、という理由が大部を占めることになる。そうした手段で、女性を集め、あるいは集めさせて、売春を強いた日本軍のことをid:syachiku1氏は、どう評価するのか、気になるが、「親の借金を盾に慰安婦になる事を選ばざるを得なかった女性」に限定して話をしよう。
 「親の借金を盾に慰安婦になる事を選ばざるを得なかった」女性に限定しても、人身売買に加担し、被害者をくいものにした日本軍の犯罪性は否定できない。

親の借金が身売りの原因である以上、日本軍慰安婦があろうがなかろうがその女性の境遇に大きな変化があるようには思えないと言っているだけである。

 一体、何度書くのか。そして、何度言わせるのか。その論理で女性に売春を強制した、日本軍を免責できないんだって。
 もしかして、詐欺犯の弁明の例えが分からなかったのか。別の例えを出そうか。

Aは、盗み目的でB宅に押入ってが、自宅療養中のBがいたため、Bを殺害して、金品を奪った。後にBが悪性のガンにかかっており、あとひと月の命であることが明らかになった。Aは言った。「俺が殺さなくても、奴はいずれ死んだんだ。奴の運命に大きな変化があるようには思えない」

Dは、かねてから恨んでいたEの自宅に放火した。Dは逮捕されたが、その1週間後、Eの自宅のあった町を大地震が襲った。Eの自宅があった区域は、地震に起因する火災で全焼した。Dは言った。
「私が火をつけなくても、あの家は燃えたの。Eの運命に大きな変化があるようには思えない」

syachiku1氏は、このふたつの弁明を認めるだろうか。認めないのだったら、「親の借金が身売りの原因である以上、日本軍慰安婦があろうがなかろうがその女性の境遇に大きな変化があるようには思えない」という論法で、日本軍を免責できないことは分かるだろう。