池田信夫氏の例の法則は健在のようです。〜今度はニューヨークタイムズの記事をねじまげました。

 「池田信夫氏の3法則」なるものが提唱されている。
 第2法則:池田信夫氏がもっともらしく引用する高名な学者の著書は、確かに存在するが、その中には池田氏の議論を根拠づけるような記述は存在しない蓋然性が高い。
という法則を遺憾なく発揮されている新しい記事が下の記事。
池田信夫 blog : NYタイムズの敗北宣言
NYタイムズの敗北宣言」と題しているが、リンク先の記事をどう読んでも、そのように解釈できなかった。
大体、件のニューヨークタイムズの記事のタイトルが、"Rewriting the War, Japanese Right Attacks a Newspaper"「戦争を書換え、日本の右翼が新聞を攻撃」と言ったタイトルで、日本の歴史修正主義者たちの動きを懸念するものとしか読めない。

There is little evidence that the Japanese military abducted or was directly involved in entrapping women in Korea, which had been a Japanese colony for decades when the war began, although the women and activists who support them say the women were often deceived and forced to work against their will.

朝日が「軍などが連行した資料は見つかっていません」と認めたのに比べると、little evidenceというのは往生際が悪いが、大西のようにインドネシアの強姦事件を持ち出さなくなったのは一歩前進だ。

 青字部分は、池田氏ニューヨークタイムズから引用した部分。
 池田氏は軍が暴力で女性を従軍慰安婦を連行した(しかも、朝鮮限定で)証拠さえなければ、従軍慰安婦問題なんて、この世に存在しない、という立場だから、このようなことを書くのだろう。しかし、ニューヨークタイムズは、そんな誰も幸せになれない世界観を池田氏と共有していないので、多くの女性が工場や病院で働くという口上にだまされて、軍慰安所で働かされた。東南アジアでは日本軍将兵が女性を誘拐した証拠がある、ということを記事に書いてある。
 読めば従軍慰安婦問題で、日本が海外から誤解を受けていないことが分かる記事である。

The revisionists, however, have seized on the lack of evidence of abductions to deny that any women were held captive in sexual slavery and to argue that the comfort women were simply camp-following prostitutes out to make good money.

(拙訳)歴史修正主義者たちは、女性が性的奴隷制に拘束されていたことを否定し、従軍慰安婦は単に金を稼ぐために軍についていった売春婦だと主張するため、拉致についての証拠不十分であることに乗じています。

 そのまま、池田氏にあてはまることまで書いてある。

 池田氏のブログ記事には、池田氏ニューヨークタイムズの記者に送った「英語の手紙」も紹介されているが、吉見義明氏が、「植民地で行なわれることはすべて強制である」と言っているという例の話を書いてある。素人ブロガーが読んでもおかしいと分かる論を、わざわざ英語にして送るなんて、まさしく「日本を貶める策謀」だよな。