札幌市時計台は、札幌市にあって北海道にはないのです?〜ヘイトスピーチについてのトンデモブログ記事

 曽野綾子氏の差別的かつ非科学的かつ非理性的なエッセイを、非論理的なことを書いて擁護しているブログ記事があったけれど、

曽野綾子氏の連載コラムを「人種差別」と批判する人の正体 | | Miyawaki-NetNews(旧みやわきぶろぐ)

過去記事を追っていったら、このブログの筆者の宮脇睦氏は、ヘイトスピーチについて、さらにトンデモなことを書いていた。

ヘイトスピーチ報道でもやるNHKの偏向報道 | | Miyawaki-NetNews(旧みやわきぶろぐ)

あらかじめ断っておきますが、欧米諸国における「ヘイトスピーチ」を是認するものではありませんが、国内においてのそれは、あきらかに趣が異なり、両者の混同は「広義」と「狭義」の強制性を混同するのと同じです。
特に「表現の自由」を大切に思うものなら、両者をしっかり定義しなければなりません。それはチンピラの喧嘩と、ボクシングの違いに似ています。

あらかじめ断らなくても、ブログのあちこちから差別を扇動したい、という欲望が、漏れあふれ出している。欧米諸国と日本とで、ヘイトスピーチの定義を別のものにしなければならない理由なんてないだろう。日本で展開されるヘイトスピーチは、正しい行いだと言いたいのか。

 ブログ記事は、ヘイトスピーチについてのNHK報道が偏向していると批判している。

 NHKの報道の論理の流れは下のようなものだ。

  1. 全国の都道府県、政令指定都市、東京都の特別区という90の自治体を対象に調査した。(全ての自治体が回答した。回収率100%)
  2. そのうち25の自治体が、ヘイトスピーチがあると答えた。
  3. 少なくとも15の都道府県で、ヘイトスピーチが確認されていることがわかった。

 宮脇氏のブログ記事では、25の自治体の部分が「13の都府県と6つの政令指定都市、それに東京23区のうち6つの区」となっているが、このソースは不明だ。現在ではリンク切れになっているNHKのウェブページに該当する記載があったのかも知れない。
 宮脇氏は、北海道庁ヘイトスピーチがあると答えていないと推測する。(都府県というからそうだよね)一方で北海道がヘイトスピーチが確認されている都道府県に分類されていることから、政令指定都市の札幌市が「ある」と答えたのだと推測する。ここまではいい。論理を追っていくことができる。しかし、このあと宮脇氏は、大いに飛躍して、北海道がヘイトスピーチが確認されている都道府県に分類されていることを、NHKの偏向報道だ、と主張するのだ。

ここで地図に注目します。「北海道」のすべてが塗りつぶされています。まるで北海道民全てがヘイトスピーチを認識しているかのようです。

 NHKは、ヘイトスピーチがあると回答した自治体ではなく、ヘイトスピーチが確認されている地域を都道府県単位で示しているのだから、札幌市でヘイトスピーチが確認されたら、北海道がヘイトスピーチが確認されている都道府県になるのは、当然だ。まさか、札幌市は地理的に北海道に含まれないと考えているのではあるまい。もしそうなら、札幌市時計台は、札幌市にあって北海道にはない、という命題も真になる。「北海道民全てがヘイトスピーチを認識しているかのようです。」というのも意味不明だ。住民全員がヘイトスピーチを見聞きしている都道府県など、おそらくないし、全員が見聞きしてなくても、存在しているものは、存在しているのだ。

 論理がおかしい以前に、ヘイトスピーチを肯定している時点で、駄目なブログなんだが。