さすが池田信夫先生、おれたちにはできない読解を平然とやってのけるッ! そこにシビれる!あこがれるゥ!

 吉見義明氏の著作を、従軍慰安婦の強制連行を否定していると読解する*1池田信夫氏だが、「日本の歴史家を支持する声明」も常人の想像を絶する読解をしてくれた。この声明は「これは朝日新聞誤報から始まった「性奴隷」説を否定するものだ。」なんだそうだ。
世界の学界も「性奴隷」を否定した – アゴラ

世界の歴史学者の「日本の歴史家を支持する声明」という安倍首相に対する公開書簡への賛同者が457人に増えた、と各メディアが報じているが、これは朝日新聞誤報から始まった「性奴隷」説を否定するものだ。全文(日本語版)を引用しておこう。
コアの主張は太字で示した部分だけで、英語版では次のようになっている。
「強制連行」も「性奴隷」も消えて、「大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされた」というだけの表現になっている。これは河野談話(日本政府の見解)と同じである。戦時中に人身売買などの「強制的な状況」はあったが、日本政府や軍が強制したという証拠は存在しない。これが世界の学問的なコンセンサスだから、安倍首相が戦後70年談話で言及するとしても「河野談話を継承する」というだけで十分である。

 池田信夫氏自身の筆によるものは上に引用した部分が全てで、後は「日本の歴史家を支持する声明」の引用である。これだけでタイトルのような結論が導けるのか、さっぱり分からない。池田氏の言う声明文の「コアの主張」というのが、「大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされた」、英語版では"large numbers of women were held against their will and subjected to horrific brutality"の部分だ。"subject to"はポツダム宣言で「隷属する」とするか「制限の下に置かれる」と翻訳するか、日本の中でもめた語句だな。池田信夫氏が声明文の「コアの主張」とする部分は、「日本軍が直接関与していた度合いについて、女性が「強制的」に「慰安婦」になったのかどうかという問題について、異論を唱える方もいます。しかし」の後に続くのだから、池田氏のような主張を否定しているとしか解釈できない。「強制連行」や「性奴隷」を別の言い方をした、と言えるかもしれない。
 
 老婆心ながら、池田氏は、従軍慰安婦についての文を読むと、書いてもいないことを読んでしまう病気にかかっているのでは、と心配してしまう。