軍隊にもいろいろなお仕事があるわけで

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150807-00079722-toyo-bus_all&p=2

 死にたくないという生物としての根元的欲求を否定して、「炎上」した自民党の武藤貴也議員。徴兵制について、例のテンプレート的否定論を述べている。

武藤 軍事も専門的になってきて「徴兵制」は意味がありません。それに今回の法案では他国の領域で武力行使を行うことは禁じられており、日本が侵略を行うこともありえません。にもかかわらずそれを恐れることは扇動されているとしか考えられません。

話題はそれるが、男性(オス)の子育てや、同性愛を「自然でない」という論で否定する人は、死にたくないという「自然な」反戦論を肯定しなければならないだろう。

 閑話休題。軍事が専門化、高度化しているので、徴兵制は現実的でないという人が、具体的な根拠を示したことは寡聞にして知らない。アメリカ軍は新兵はまるで役に立たないので、イラクアフガニスタン上等兵以上だけを派遣していた、とか示してくれればよいのだが。おそらく、条件反射的に反駁しているだけだろう。

 軍隊に特殊部隊の隊員や航空機の操縦士といった高度な訓練が必要な仕事があるのは事実だか、そうでない仕事が大半だ。

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 上記の記事では、空母の乗員のうち作戦に携わる要員は3分の1で「残りの4000人ほどは、庶務をやったり、食事を作ったり、艦を修理したり、怪我人を治療したりするという後方支援組」で、戦闘機のパイロットは5%以下の存在で300人以下しかいない、となっている。民間企業では、外注されているようなリクリエーション担当の要員も存在する。決して全員が、高度化された軍事兵器を使うわけではない。
 先日の記事で紹介した『徴兵制』でも、軍隊の仕事の大部分が「伝令、雑役、バーテンダー、秘書、倉庫管理人、料理人、電話交換手、掃除夫、事務員、倉庫番」だと書かれている。

 仮に軍隊が高度な専門的能力を必要としていても、服役期間を長期化させるとか、専門的知識を持った人材を選抜して徴兵するとか、徴兵する側には対応策があるのだ。軍事が専門化、高度化しているので、徴兵制はありません、という言葉は、インチキ金融業者の「わが社のこの商品は元本保証です」という言葉と同じように信用できない。