徴兵制では現代戦を戦えないのなら、イスラエル国防軍は現代戦を戦えないはずだ。

以前の記事でふれたような「徴兵制はあり得ない論」は大体下のような三段論法になっている。

  1. 徴兵制で集められた兵士で編成された軍隊は、現代戦では戦えない。
  2. 日本の政府が、自衛隊をあるいは将来の新日本軍を、そのような時代遅れのものにすることはない。
  3. 従って日本で今後、徴兵制が行われることはない。

そもそも1の大前提は正しいのだろうか。1の「徴兵された兵士で編成された軍隊は、ハイテク兵器を使えず、現代戦を戦えない」という主張を裏返すと、徴兵された兵士で編成された軍隊は、旧式の兵器を装備する劣弱な軍隊ということになるが、これにはイスラエル国防軍という大きな反証がある。

 イスラエルは男性だけでなく、女性も徴兵の対象にしているが、その軍は、頭数さえそろえばという人海戦術志向の軍隊ではない。欧米の軍隊に匹敵する高性能の兵器を装備した、練度の高い軍隊だ。彼らが、自慢のハイテク兵器を使いこなせていないという話も聞かない。
 
 また、自衛隊でも3年で50日の訓練を受けて、予備自衛官になる、予備自衛官補の制度がある。彼らも防衛招集されることがありうるが、自衛隊は役立たずを養成しようとしているのだろうか。
 
陸上自衛隊:予備自衛官トピックスには「なぜ、予備が必要なのでしょうか」の問いに

有事の時には、大きな防衛力が必要です。しかし、その防衛力を日頃から保持することは効率的ではありません。このため、普段は、必要最小限の防衛力で対応し、有事の時に急速に人員を集めることができる予備の防衛力が必要なのです。多くの国でもこの制度を取り入れています。

と回答している。これは有事に人員を集めなくてはならないが、その人員は必ずしも高度な専門技能を持った兵士でなくても良いと考えているということだろう。