大阪市公募区長の論文あるいは作文を読んでみた part2

前回のpart1に引き続き、大阪市の公募区長合格者の応募論文について第2弾、今回は西成区長の臣永正廣氏の論文を取り上げる。
論文の原文はこちら
「大阪市区長公募の最終合格者が決定しました」(http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/page/0000173653.html)

ワークシェアリングで創出した雇用で賃金は安くても安定的な雇用環境の身分の住民を増やす。月額8万円から10万円で100人の雇用を創出したとしても800万円から1000万円である。
「安定的な雇用環境の身分の住民」と入力したら、「修飾語の連続」とテキストエディタの校正機能に警告されたぜ。添削するなら、「安定雇用の住民」だろうか。それはともかく、月額8万円から10万円とは、安いというより安すぎる賃金である。収入のある同居人とかが、いなければ、収入を補完するために生活保護を受け続けるしかないだろう。全段に
徹底したワークシェアリングで雇用を生み出し、賃金が安くても誇りを持って仕事をしながら自立できる仕組みを作る。
書いている内容自体には反対しませんが、「月額8万円から10万円」は安すぎだ。786円という大阪市最低賃金(2011年9月30日)で1日8時間働くとしたら、月に13日から15日が稼働日となるが、残りの日はどうするのだろうか。そうした仕事が誇りにつながるだろうか。
まず、高齢者は生活に必要な金額が得られる臨時雇用、若者は将来への期待が持てる准職員として、低い賃金水準でも施し的な生活保護でなく、きちんと税金を払う側に回れて仕事と生活に誇りを持って暮らせる区民、市民、府民となってもらえるようにする。
「税金を払う側に回」るためには結構な収入が必要ですね。
(前略)これからの都市災害を考えるとき、消防レスキューや自衛隊など、第一線の部隊の実践訓練場が不可欠である。そこで、区内に隊員やその家族も居住してもらい、隊員が家族と身近で暮らしながら訓練できるエリアを設ける。安全、安心はもちろん、人口増、街の活力アップにも貢献する。
まさか、自衛隊の演習場を誘致ということではないですね。キルハウスのような市街地戦闘訓練施設をつくるのだろうか。ただ、近くに消防や自衛隊の施設があっても、大規模災害の際は、同じように被災して役に立たないという可能性も考慮すべきかと。
上海、サイゴンバンコクなど、活気のある街ではなぜかその国の言葉は大阪弁に聞こえる。
そうかぁ? 声調のある言葉が大阪弁に聞こえるのだろうか。そこは個人の印象と言われればそうなのだろうが、サイゴンは今はないぞ。ホーチミンだ。
維新のような大きな変革時には、スピードと機動力のある新撰組のような実戦部隊が必要で、その目的断行のためには近藤勇のようなリーダーはもちろん、土方歳三タイプの現場指揮が不可欠だと思います。
土方歳三タイプの現場指揮」を「土方歳三タイプの現場指揮官」に添削したくなる。新撰組は、維新を推進した陣営を弾圧した組織であることは、ご存じだろうか。

2回にわたって書いてきたが、書かれた思想や施策はともかく、あきらかな事実誤認を含んでいたり添削が必要な論文がインターネット上に載ってしまうとはどうしたことなのだろうか。想像だが、大阪市役所のなかでは、「おそれながら」と上のやることをただす。諫言の道筋がもはや断たれているのではないか。