2015-01-01から1年間の記事一覧

批判されているのは分かるわけだ。

前回記事で言及した産経新聞記事は、「日本の歴史家を支持する声明」を日本の肩を持っていると無理やり解釈していたが、BLOGOSの 議論:米研究者らが声明、日本政府はどう対応すべきだと思う? に集う人びとは、従軍慰安婦問題に対する歴史修正主義的な見方…

聞く耳を持っていないのだな

米国の歴史研究者らが公表した「日本の歴史家を支持する声明」について前回記事でとりあげたのだが、この声明に名を連ねた小山エミ氏が、声明についてシノドスに記事を書いていた。 世界の日本研究者ら187名による「日本の歴史家を支持する声明」の背景と…

A as well as Bの用法

米国の歴史研究者らが公表した「日本の歴史家を支持する声明」の日本語版に以下の一節がある。 この問題は、日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました。 この部分に食いつく人がいるだろうな、と思っていたら…

地理上の錯覚〜右手に見えますのは、あべのハルカス

人間は地図を正確なかたちで記憶しているわけでなく、デフォルメして覚えているため、様々な地理上の錯覚が生まれる。下の記事にある山陰地方を実際よりかなり北にあると錯覚している、というのは結構有名な例だ。(こちらにもいくつか例が挙げられている)春…

それじゃバラも駄目なのだろう〜ニホンザルの赤ちゃんの命名

失笑してしまった記事。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150506-00000119-sph-soci だが、サルの命名発表後、園には「もしロンドンの動物園のサルに、日本の皇族のお名前が付いたら、どんな気持ちになるか考えてみろ」「英国に失礼だ。撤回してほしい…

神話教育の弊害

2015年2月、愛知県一宮市の市立中学の男性校長が、学校の(個人のじゃないよ)ホームページ上のブログに、神話に基づく日本建国の由来を書いた問題にからめて、産経新聞は、神話を教育せよ、という意見を載せている。 神話や建国記述「間違ってない」「感動…

俺はお前を信頼しないぞ、という奴が信頼されるのだろうか。

既に各方面で話題になっている元小結の舞の海秀平氏の珍説。残念ながらエイプリルフールの記事ではないのだ。 【憲法記念日】舞の海氏が新説「日本人力士の“甘さ”は前文に起因する」「反省しすぎて土俵際…」(1/2ページ) - 産経ニュース もはや、特定の国や…

『イミテーションゲーム』

数学者アラン・チューリングの人生をドイツのエニグマ暗号解読に従事していた頃に焦点をあてて描いた映画。 アラン・チューリングは癖のある人物として描写されている。他人の言葉を「文字通り」に解釈する、意思の伝え方がストレート過ぎるなど、現代日本の…

「旧」の用法〜旧日本軍、旧ソ連

2015年4月23日朝日新聞「天声人語」が「旧日本軍」という用語について述べていた。 記事を書くときに、使いたくない言葉というものがある。いまは亡きある先輩記者は「旧日本軍」という言葉を使わず「日本軍」と表していた。紙面では一般に、旧をつけた「旧…

「どこの国の政治家なんでしょうか?」ってアメリカ合衆国の政治家でしょうが〜産経新聞のツィッター

こんなアホなことを言うのは、どこの暇人かと思って見てみると、我が国が誇る五大紙のひとつ産経新聞ではありませんか。この人も、どこの国の政治家なんでしょうか? マイク・ホンダ米議員「安倍首相は謝罪し、慰安婦問題や侵略責任を受け入れよ」 産経単独…

渡部昇一氏のさかうらみ〜「神聖な義務」事件

渡部昇一氏は1980年に障害者は社会に莫大な負担をかけるから、その出現を未然に防ぐことは、神聖な義務である、という主旨のエッセイを書いて、当事者から批判を受けた。当時、渡部氏は『週刊文春』に「古語俗解」というエッセイを連載していたが、そこに作…

曽野綾子氏たちの基準では、個人が自由意思でする差別はしょうがないらしい。

前回記事では、曽野綾子氏たちが、産経新聞コラムの「炎上」事件の火元を朝日新聞だと誤断していると書いた。『歴史通』2015年5月号の「私たちを「炎上」させようとした「朝日」」を読むと、曽野氏も渡部氏も、あのコラムの内容は全く問題がなかったと考え…

曽野綾子氏たちはさかうらみする相手を間違えている。

ワック出版の『歴史通』2015年5月号に「私たちを「炎上」させようとした「朝日」」という穏やかでないタイトルで曽野綾子氏と渡部昇一氏の対談が載っている。 介護は外国人労働者にやらせろ、語学も技術もなくても大丈夫。ただし、移民としての分をわきまえ…

ビジネス本じゃないよ。〜『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』

センディル・ ムッライナタンとエルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』はビジネス書ではない。日本語タイトルからは、「todoリストはこう使え」とか「会議は無駄防止のため、立ってせよ」といったノウハウが書かれた本に…

人それを奴隷と呼ぶ

以前、 頼むから外国語に翻訳して世界に拡散しようなどと考えないでくれよ。〜「朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会」の報告書 - davsの日記 という記事を書いたが、朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会の報告書を掲載していた日本政策…

だったら歌う義務はないんだろう。

「どうして自然な気持ちで国歌を斉唱できないのだろうか。」と最初から、書いているが、だったら、歌うことを強制するなよなと思う。強制されたら自然な気持ちがわくことなんてない。「君が代」を歌えという人びとは、たいていハラスメントの道具として「君…

そんな社会で暮らしたくないし、子育てもしたくないな〜挨拶したら不審者

小学生の頃、「学校に来たお客様には、元気に挨拶しましょう」と教師に教えられた。それを実行したら、訪問客(当然、大人だ)のほとんどが無視した。腹を立てた私は、作文に「大人があいさつしないのはおかしいと思います」と告発めいたことを書いた。考え…

大変だ! 自衛隊が廃止されてしまう。

安倍首相が、自衛隊のことを「わが軍」と言っちゃったお話。 http://mainichi.jp/select/news/20150325k0000m010180000c.html憲法第9条との整合性を保つため、自衛隊は、戦力じゃない、軍隊じゃないと、政府は言い続けていたはずだが、とうとう首相が、「自…

従軍慰安婦総数についての秦郁彦氏の推計のうつりかわり

前回の記事に書いた、従軍慰安婦問題についての秦郁彦氏の会見の中で、「海外に展開した日本軍の兵力は約100万人」と発言したことについて、id:scopedog氏が秀逸な記事を書いている。 秦郁彦「当時海外に展開した日本軍の兵力は約100万人!」 日本軍の海外で…

秦郁彦氏はこの世に組織的犯罪というものがないと考えているのだろう。

下の記事にある、秦郁彦氏の発言が色々ひどい。 【詳報】「強制連行があったとするマグロウヒル社の記述は誤り」従軍慰安婦問題で、秦郁彦氏、大沼保昭氏が会見 (1/2) アムステルダムの"飾り窓の女"というのは有名ですよね。我が東京においてもソープランド…

笑いすぎて死ぬかと思った。〜映画「アンブロークン」上映反対運動

映画「アンブロークン」へのボイコット運動についての記事。http://digital.asahi.com/articles/ASH376H1WH37UTIL01D.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH376H1WH37UTIL01D記事の中の下の一節に大いに笑わせていただいた。茂木弘道氏は見てもいない映画を…

慰霊碑が既にあることと、それではどうして駄目か書かなければならないだろう。

【産経抄】空襲慰霊碑の建立を 3月10日(1/2ページ) - 産経ニュース ▼東京都江東区で老舗の家具店を営んできた滝保清さん(86)は平成3年から、空襲で亡くなった人たちを追悼するため、慰霊碑の建立を求める運動を続けてきた。10万人を超える署名を…

だったら、大阪府の裏金問題の証拠もなかったんだろうな

大阪府、慰安婦問題の補助教材配布へ 松井知事が答弁 朝日記事取り消し受け - 産経WEST 大阪府の松井一郎知事は13日、朝日新聞が慰安婦報道の一部記事を取り消した問題を受け、高校日本史の教科書の慰安婦に関する記述内容について、補助教材を作成し、府…

「戦死者に感謝」がグロテスクなわけ

http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/bunka/list/201503/CK2015030702000222.html 先の大戦で死んだ日本の二百三十万人の兵士の六割は、歴史学者の藤原彰によれば、兵たん・補給無視の計画・指導による餓死とのたれ死にであるという。国家は、英霊と…

要するに国際的モンスタークレーマーの同調者だと自白しているわけだね。

カリフォルニア州グレンデール市の慰安婦像裁判は、原告のボロ負けに終わったのだが、以下の記事で原告の敗因が解説されている。 グレンデール市の慰安婦像裁判は、なぜ原告のボロ負けに終わったのか / 小山エミ / 社会哲学 | SYNODOS -シノドス- 原告側は、…

「家族や恋人など大切な人を守る」目的に合っていたか考えさせるべきだと思う。

特攻作戦を、隊員が大切な人を守るためという動機で参加したことだから、と正当化するテンプレート的主張がある。例えば、下の産経新聞に登場するガイドの説明などだ。 【日教組教研集会】「特攻隊」題材に平和授業…「涙をこらえていた」と朗読の教諭 日教組…

このふたつの記事についてスタンスが同じであればよいのだけれど

産経新聞2015年2月25日の記事。 http://www.sankei.com/world/news/150225/wor1502250061-n1.html http://www.sankei.com/world/news/150225/wor1502250036-n1.html どちらも、論評抜きの記事で、産経新聞のスタンスをうかがうことはできないのだけれど、両…

従軍慰安婦問題否認論者、あるある

今回は以前書いた下の記事の姉妹編。 従軍慰安婦問題否認論記事を書くために大事なこと〜無論、皮肉です。 - davsの日記 吉見義明氏と故・吉田清治氏を混同する。 インドシナとインドネシアを混同する。 「スマラン島」の実在を信じる。 日本の歴史上奴隷が…

馬鹿だ。本物の馬鹿だ。〜「朝日新聞を糺す国民会議」の日本外国特派員協会での記者会見

2015年2月23日、「朝日新聞を糺す国民会議」の水島総氏、加瀬英明氏、が日本外国特派員協会での会見を行ったことについて。【詳報】"日本国の誇りを取り戻す"〜「朝日新聞を糺す国民会議」の水島総氏・加瀬英明氏が会見 (1/2)すでに、あちこちで批判されてい…

そんなところまで原作に忠実でなくてもよかったのに〜テレビドラマ版『永遠の0』

テレビドラマ版『永遠の0』の第一夜をみた。 以前、主人公の宮部が墜落中の乗機から脱出した米軍搭乗員の落下傘を撃つエピソードについて、「主人公のこんな反倫理的行為は、おそらくドラマ版でも描写されないと思う」と書いたのだが、私の予想が誤っていた…